北本市で「子どもの権利に関する条例」が可決！ 〜子どもたちの声が尊重されるまちづくりへ〜

埼玉県北本市では、子どもたちの意見が学校運営や地域の政策決定に十分反映されていないという課題がありました。

例えば、
2017年：中学校教諭がSNSで生徒になりすまし、中傷する問題が発生。
→ 2019年の「いじめ防止対策推進条例案」では、教員によるハラスメントの禁止規定がなく、議会で否決。その後、規定を追加して成立。

2020年：小学校の廃校決定において、保護者や住民の意見は聞かれたが、当事者である子どもの声は聞かれなかった。
→ 市の意思決定プロセスにおいて、子どもの意見が反映されていないことが明らかに。

また、中学校の部活動の指導に関する不満や、校則の厳しさに関する子どもの意見が十分に尊重されていないといった声が上がっていた。
こうした状況に対し、「子どもたちが自らの意見を表明し、それが尊重される社会をつくるべきではないか」という声が市議会内で広がり、市議主導で議論が進められました。

この条例の制定は、直接的に市民の要望から生まれたものではなく、市議が身近な課題を感じ取り、議会を通じてより良い政策を実現しようとしたことが原点となっています。

この条例の目的は、単なる理念の表明ではなく、子どもの権利を明らかにし、それを守るための仕組みを定めることで、子どもの権利を保障し、すべての子どもが幸せな生活を送ることができる社会を実現することです。

具体的には、以下の施策を導入し、子どもたちの権利を確実に守ることを目指しました。

✅ 子どもの権利の内容を明確化する
✅ 子どもが意見を表明する機会を確保し、その意見が尊重される制度を整備する
✅ いじめや体罰などの権利侵害に対応する相談・救済制度を確立する
✅ 子どもが安全で安心して成長できる環境を確保するための施策を推進する
✅ 施策を確実に実行するため、市の予算を活用し、具体的な取り組みを支援する

また、特に「擁護委員制度」の設置が大きなポイントとなっています。

擁護委員は、子どもが体罰やいじめなどの権利侵害を受けた際に相談を受け、調査を行い、必要に応じて学校や関係機関に是正措置を勧告・要請する権限を持ちます。
市の施策として「子ども会議」を設置できることが定められ、子どもたちが意見を発信できる場の確保が可能になりました。

条例の策定にあたっては、市民の意見も幅広く取り入れられました。

市民の声を集めるために、
📌 駅前や市役所での意見聴取
📌 チラシ配布やSNSを活用した意見募集
📌 市民との意見交換会の実施

といった取り組みが行われました。

北本市の「子どもの権利に関する条例」は議会提案で制定されたこともあり、全国の自治体からも注目される事例となりました。その成功のポイントは以下のとおりです。

🔹 議員が主導しながらも、市民参加を大切にした
🔹 条例の実効性を高めるため、市の予算措置を含めた施策を展開した
🔹 他市の事例を参考にしながら、北本市独自の課題に合わせた条例を作成した
🔹 議会内で丁寧な合意形成を行い、全会一致で可決された